柿渋
柿渋とは…
日本の風土は豊かな自然環境に恵まれていますが、周囲を海に囲まれているため年間を通じて 湿気が高いことは、人々が生活するうえで大きな問題でした。 木材・紙・繊維などにカビが生え、長く放置すると腐蝕してしまいます。 柿渋は古来から生活の知恵として、木や紙の文化とも言える日本文化を守る重要な脇役として 利用され、木材や紙や繊維に塗ることによって防水効果を高めたり、防腐剤としても使用される ようになりました。 現代では暮らしに幅広く定着し、シックハウス症候群やホルムアルデヒド問題の原因となる 建物の内装材に代わる天然素材の自然塗料として大きく見直されています。 柿の種類はタムラ柿、あっとり柿、つるの子柿などで、多くのタンニンが含有されています。
柿渋の用途と特性
■建物の塗装として…
落ち着いた色調で仕上がり、また木材を保護し、耐久性をよくする弁柄や松煙を混ぜて、着色仕上げをすることもできる。■柿渋染めとして…
クラフトの染物として布・竹・木・糸などを着色する■防水加工として…
型紙・和紙・うちわ等の防水補強材。■防腐剤として…
タンニンの作用により木材に塗ると防腐効果があるその他にも…
■ロープ(綿、麻)、漁網等の補強、防食、防水加工幅広い用途にご利用頂けます。ぜひお試しください。
柿渋の使用方法について
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使用上の注意必ずお読みください
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- ・ 柿渋は鉄と反応して黒くなる性質があるので、ポリ容器又はガラス容器を使用して下さい。又、釘などの鉄部に塗装することは、できるだけ避けて下さい。
- ・ 刷毛はナイロン製の物を使用して下さい。馬毛などの天然素材の刷毛で塗ると刷毛が固まってしまい、刷毛が再度使えなくなってしまいます。
- ・ 固まった場合は、約 70℃~80℃のお湯で湯煎にかけて、約 30分~40分位良くかき混ぜて下さい。
- ・ 空気に触れるとゼリー状になりやすいので、まめにフタを閉じて下さい。
使用方法
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- (1) ゴミやほこりを取り除き、研磨紙(#320~#400)にて研磨する
- (2) 柿渋を薄めずに刷毛で塗布する(0.07~0.1L/㎡)
- (3) 塗った後に木に柿渋を擦りこむ(一定方向に塗る)ようにしてウエスでしっかりと拭き取る
- (4) (3)の後、半日以上乾燥させ研磨(#320~#400)してケバを取る
- (5) (2)と同じ(上塗り)
シックハウス症候群について
ホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOC)は、眼・鼻・喉の炎症、めまいや頭痛など、身体に影響を及ぼすことがあります。 その患者数は日本国内で100万人以上、潜在数は1,000万人にのぼるといわれています。 ホルムアルデヒドは、現在シックハウス症候群を引き起こす最大の原因化学物質のひとつとして、厚生労働省により、その室内濃度指針値が100μ/立方米0.08ppm)と設定されており、それに対応したホルムアルデヒド発生の少ない合板やMDFなどの内装材を使用することが、ハウスメーカーの新築物では必須となっています。 しかしながら、化学物質を多用した家具やリフォームのためにホルムアルデヒドが放出されることがあり、高気密の上に自然換気不足も重なり、室内環境汚染が大きな問題となっており、その対策が期待されております。 柿渋は、シックハウス症候群の原因の一つであるホルムアルデヒドを吸収する効果がある天然素材の自然塗料と言われています。
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ホルムアルデヒド吸収効果(縦150mmX横50mm 厚12mm 杉の木使用) 柿 渋 吸着率 再 放 出 量 吸収率 (mg) (mg) % (mg) 未 塗 装 6.0 2.0 24.3 4.5 柿 渋 2回塗り 10.2 0.2 1.6 10.1
漆
漆とは…
漆とは、漆の木から採取した樹液の事で、天然塗料の中で最も優れた特性を持っています。中国では紀元前4000年ごろから漆を使っていたともいわれ、日本においても福井県島浜貝塚から縄文時代前期(約5500年前)に使われた漆塗の櫛やお盆が出土しています。 漆とは、「うるわしい」「うるおす」という言葉が由来といわれ、外国では漆器のことをジャパンと呼んでいます。 最初は接着を目的に狩の道具・武具などに使用されていました。 その後、漆の持つ保護耐久性・塗料としての美点に気付き創意工夫を加え装飾の文化へと発展していきました。漆の樹
漆の樹は高さ10メートル、太さ10センチメートルにもなる落葉樹で、葉は4、5月ごろに発芽し、6月ごろ黄緑の花をつけ、秋になると紅葉します。漆塗りの特性
- 漆はペンキが乾くのとは本質的に違い、漆が乾くには乾燥させるのではなく、適度な温度と湿度が必要です。(温度15〜20度、湿度70%〜90%)その状態の中で成分中のウルシオールとラッカーゼが化学反応し塗膜をつくります。漆は1回固まると酸、アルカリ、アルコールや高熱にも耐える強靭な塗膜をつくります。接着力を有し他の塗料とは極めて大きな違いでもあります。漆を溶かすには水を用いず、テレピン油、へんのう油、石油等を使用します。 水を用いても溶けず逆に乾燥が早まります。
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漆の欠点
ウルシオールの持つ毒性により漆が皮膚に直接触れるとかぶれます。(全くかぶれない人もいます) かぶれると強烈なかゆみを伴い、水疱が出来たり赤くはれ上がります。しかし菌が入らず化膿しなければ跡形もなくきれいに治ります。 また一度かぶれるとかぶれにくくなるという免疫作用もあります。